偶然について

友達がブログで必然と偶然の関係について書いてて、自分も前に同じことを考えていたなーと、自分用の書きなぐりノートを見ていたら、こんな引用が。


偶然の一致というのは、ひょっとして実はとてもありふれた現象なんじゃないだろうかって。つまり、そういう類のものごと僕らのまわりで、しょっちゅう日常的に起こっているんです。でも大半は僕らの目にとまることなく、そのまま見過ごされてしまいます。まるでまっ昼間に打ち上げられた花火のように、かすかに音はするんだけど、空を見上げても何も見えません。しかしもし僕らのほうに強く求める気持ちがあれば、それはたぶん僕らの視界の中に、ひとつのメッセージとして浮かび上がってくるんです。その図形や意味合いが鮮やかに読み取れるようになる。そして僕らはそういうものを目にして、「あぁ、こんなことも起こるんだ。不思議だなぁ」と驚いたりします。本当はぜんぜん不思議なことでもないにもかかわらず。 (村上春樹 『東京奇譚集』「偶然の旅人」より)


「偶然」と「必然」の境界はとてもあやふやなものだけど、あるとするならそれは「僕らのほうに強く求める気持ち」なんじゃないかなぁ。


わたしの好きな梅佳代さんという写真家の写真は、まさに「シャッターチャンス」という言葉で表されるようなものばかり。彼女にとっての「シャッターチャンス」が普通の「シャッターチャンス」から絶妙にずれているところがすごくおもしろくて、写真集をめくるたびに爆笑してしまう。
その彼女が、「みんな、カメラ持ってないだけ。それだけのような気がするね。」とインタビューの中で言っている。
参照→http://www.1101.com/umekayo/index.html
これも、彼女にシャッターチャンスを「強く求める気持ち」があるからだろう。
彼女の写真を見る人はみんな「なんでこんな瞬間をとれるの?!」とびっくりしたり不思議がったりするけど、彼女にとってはそれは「必然」でぜんぜん不思議なことではないのだと思う。

ちなみに上のサイトには面白い写真が満載なのでぜひぜひ見てみて!